4章

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「あ、澄乃ちゃんだ」  飼い猫の毛とお揃いの白いマフラーがよく似合っている。雪のような肌に透き通った瞳。ほっぺたは寒いせいかほんのり紅くなっていて非常に可愛らしい。光宙は誇らしげに胸を張る。 「愛らしいだろう? お前の主人なんかとは比べ物にならないくらい!」 「ムカつくけど事実だよ……あ!」  澄乃ちゃんと並んで立っているのは同じ年頃くらいの少年。背が少し高めだが、目がくりくりしてカワイイ受け風の顔立ちだ。  観察していると、澄乃ちゃんが学生カバンからピンクのハート柄の四角い箱を取り出す。少年は澄乃ちゃんみたいに顔をほてらせ、顔をくしゃっとさせて笑った。  二人が手を繋いだのを見て吾輩は光宙に飛び掛かる。コイツ意外に力が強くて吾輩ごと突撃しそうだ。  吾輩は少年が持ってるチョコレートの箱に狙いを定める光宙に吠えた。 「やめろ奪おうとするなお前の命が奪われるんだったら!」
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