3章

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「俺は猫の体を超越して」  自ら死にに行ってる癖に往生際が悪すぎる!  吾輩は大きく息を吸った。 「聞け! お前がそれを澄乃ちゃんに伝えることはできない! 人の言葉が話せないからだ! 仮に家にあるチョコレートでも食ってみろ。即行で病院に連れてかれるからな!」  語気を強めるとようやく光宙は笑みを消し、やがてぽろんと土管のてっぺんから落ちて来た。 「こんな残酷な現実が、あってたまるか……」  人間はショックを受けると四つん這いになって地に目を落とすが、猫もそうらしい。吾輩は光宙を見下ろしながらため息を我慢する。  なんでこんなシリアスな空気出さなくちゃいけないんだよ。チョコレート食べたい猫を引き止めるだけの話なのに。
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