3章

6/6

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 光宙は目を白黒させて聞き返してくる。 「どういうことだ」 「前にも言ったじゃん、俺たちは人間に自分の言葉を話せない。何を問われてもイエス・ノーを正確に伝えられない。人間達は察することしかできないんだ。それでもお前の様子を見て『多分こうじゃないかな』と判断して心配してくれたんだろ。俺だったら嫌だよ。聞かれたことに返事をしてくれない奴の面倒見るのは」  光宙の垂れていた尻尾が、ひょっこり起き上がった。残念なことに、声もいつもの不遜さが蘇っている。 「澄乃ちゃんの愛は、俺が気づいてないだけでいつも注がれていたのか」  こういうことを言うと調子に乗るが仕方ない。 「光宙。お前が欲しい物ってさ、チョコレートじゃないでしょ。もう貰ってんじゃん。毎日毎日」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加