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4章
バレンタイン当日、二階の唯ちゃんの部屋で寝ていた吾輩は甘ったるい匂いで目を覚ます。リビングに行くと唯ちゃんが充血した目でキッチンに立っていた。
「できたぜ……頑張ったね響。絶対、麗哉くん、喜んでくれるからね!」
響くんじゃなくてお前が頑張って作ったんだよ。チョコペンで「レイヤ、愛してる」って書いてあるガトーショコラを。涙ぐましい。
「愛してるの『愛』の字が異様にデカイな」
起きてきた兄さんが本棚の上から完成品を覗き見る。すると姉さんも続けて本棚に飛び乗った。
「響くん不器用だしねぇ、麗哉くん笑って食べてくれるわよ」
「ガトーショコラより先に響くん食べるんだろ」
「ルーちゃん伊達に腐女子の飼い猫してないよな」
「俺も悲しいわ」
しばらくすると階段を降りて来たお母さんから「うわキッチンぐちゃぐちゃ」と悲鳴を上げられ、唯ちゃんは感動に浸る間もなく雑巾を持たされていた。
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