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3章
「で? 一日考える時間をやったが、妙案は浮かんだのか。ルー……トヴィッヒ」
今日も光宙は吾輩の「ドイツ カッコいい名前」で検索されてから付けられた名前を半笑いで呼ぶ。お前ネズミの名前付けられてる癖に。
「それは何、お前がチョコレート食べても死なない方法?」
「それは心配無用だ。愛は奇跡を起こすからな」
そんな妙ちきりんな期待されたら愛だって困惑してしまうだろうよ。
「そもそも奇妙な行跡から愛が生まれること無いから!」
ていうか何で食べたいと思うのだろう? 吾輩チョコレートの匂い嗅ぐと本能が食べてはいけないと警鐘を鳴らすけど!
「だから、澄乃ちゃんが俺にチョコレートを作りたいと思わせてさえくれたらいいんだ」
「無理難題だよお前が人間だったとしても!」
吾輩が人間の女子でもこんな馬鹿にやるチョコなんて30円の駄菓子でも惜しい。
……しかし流石に死ねとは言えまい。
「光宙、お前何歳だっけ?」
「5歳だが」
吾輩は即答する光宙の目を見て一呼吸置く。
「5年も猫と暮らしている真っ当な飼い主がさ、猫が食べられない物把握してないとは思えないけど」
淡々と話すと、何故か余裕の固まりだった光宙も焦るような素振りを見せた。
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