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1章
「ご機嫌いかがか? ルー……トヴィッヒ」
ガキ大将がリサイタルをするのに打ってつけの、横向きに積み重ねられた土管のてっぺんで、知り合いの光宙が吾輩を見下ろしてきた。いつもこいつはワザと「ルー」と「トヴィッヒ」の間を溜めるのだ。
「よくはない。あと唯ちゃんがそろそろ家に帰ってくるから手短にしてくれないか」
「平気さ、餓鬼でもあるまいし。俺よりその唯とやらがそれ程大事なのか」
「お前のことよりは大事にしているけれども」
光宙は真顔で答える吾輩を鼻で笑う。
「相変わらずつれない反応をする。お前らしいが」
光宙は相手の気持ちを理解するという能力が極めて低く、吾輩の姉さんも「アイツ生理的に無理」とよく悪態をついている。
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