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※※※
三つ巴で揉めているうちに日はとっぷりと暮れ、結局ヨーコたちは荒野のひび割れた枯れ木の下で野宿の羽目となった。
『ムコどのには話しておかねばならんなぁ』
ヨーコは怒鳴り疲れたのか、一番先にふて寝を決め込んでしまっている。
今はマンタイとさぶ太郎だけがたき火を囲んでいた。
「ははっ、義父上。拙者、一日も早くヨーコさんの全てを知り、ムコとして誠心誠意お仕えする所存であります。なんなりと、なんなりと!」
律儀に片膝をつき、少々食い気味にさぶ太郎は詰め寄る。
『う、うん……、てかムコどのはヨーコありなの? 掟とは言え、ウチの娘って報奨金一億トンガの極悪手配者よ?』
「アリでござる! むしろ頬かむりを取られそうになった時、ちょっと手を緩めちゃった」
ニャハハと白い顔を肉球で撫でまわし、ニャンコなオオカミはデレデレである。
「それに強くて可愛くて、何よりヨーコさんってイキイキしてまする。一緒に旅をしながら生きていけたらステキじゃないですかー」
『あっぱれ! そのイロイロ深く考えずに感性で決めるトコ、さすがワシが見込んだムコどの。男はそうでなくちゃいかん!』
へへーっと、さぶ太郎は平身低頭。でも褒められて白いしっぽがパタパタしてしまっている。
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