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『時にムコどの、ヨーコがピグみん族のワシとヒュムリア族のおかさんとのハーフであることは知っているな?』
「それは周知でありましょう。拙者もスカイウォン持ってますし」
さぶ太郎が腰から一本のクナイを取り出し手元の竜頭を押すと、その場にヨーコの情報ホログラムが浮かび上がった。
「拙者もハーフで、身姿は母上のウルフゥ族に近いです。でもヨーコさんは本当に母君の血を濃く受け継いだんですね。ピグみんの気配が全くしない」
『……そう。世界でも最弱と言われるヒュムリア族。その起源は異界からの転生とも噂される。ウッキー族に多少近いが、手足が長く体毛も頭と体の一部にしか生えてこん』
ポッとさぶ太郎の白い顔が桃色になる。
『顔の造形は美しいが……何より身体が脆い。ちょっとした刃物でもすぐ切れて血がほとばしる。この弱さは本当にこの世界のモノとは思えん』
「…………?」
マンタイのつぶやきに、どこか重々しい何かを感じ取ってさぶ太郎は首を傾げた。
『ここからはワシの独り言だ。聞くもよし、聞かぬもよし……』
風に流れるマンタイの声が、眠るヨーコの上を通り過ぎていく。
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