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「……待ってください。要点を整理しましょう」
ズレてる親子に静かな声で聞いてみる。
「つまり、ヨーコさんの父親殺しはガセネタってことですね」
コクンとうなずく父と娘。
「推測するに、報奨金が上がった事で、身の程知らずの賞金稼ぎたちが向こうから来てくれそうだからまあいいか、ってとこでしょうか」
『うむ、実にあっぱれ! ムコどのは良くわかっておる』
「身に余るお言葉。なにやら拙者を応援する声が聞こえた気がしまして」
やはり応援という熱いハートは、届くものらしい。
「誰もあんたなんか応援してな……」
突然ヨーコが言葉を切った。ピクッと頬かむりの下のさぶ太郎の耳も震える。
『一人……いや、二人か』
ヒクヒク、マンタイの鼻がそれを確実なものとした。
風向きが変わる。荒野の平穏だった空気が、上空から降りてきた粗暴な翼音にかき乱される。
「バサバサうるさいわよ。それにあんたたち、臭い」
地上に降り立ったのは二体の黒い翼を持った人獣。翼と繋がった手指がやけに長く、親指だけは鋭利なカギ爪のよう。
「チイーッ!」
「見つけた見つけた……一億トンガ、見ぃつけチー」
「こやつらは……」
慌ててさぶ太郎がクナイのスカイウォンを操作すると、二人の情報が提示された。
「ヨーコさん! コーとモリーの兄弟、チスイー族です。二人で報奨金1200万トンガ、DEAD OR ALIVE!」
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