第二話 さぶミッション ~拙者のヨメはお尋ね者でござる~

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 卵をといてミルクを混ぜて。グラニュー糖ではなくハチミツを入れるのが『彼』流。  その甘ーい卵液に、バゲットをくぐらせる。じゅわぁっと染み込ませるよりも、サラッとくぐらせただけでサックリ焼くのが『彼女』の好み。 「んふふ~♪ いい匂いでござる。野営でフレンチトースト、なんともシャレオツでござるなぁ」  さぶ太郎は焚火の上でフライパンを振りながら、にゃぱっと微笑んだ。  真っ白フカフカな全身に黒い忍び装束、三角ケモ耳の頭も頬かむりで覆われている。  ニャンパラ族に良く間違えられるが、彼はれっきとした狼のウルフゥ族&忍者のコガニン族とのハーフ。    そして、賞金稼ぎを生業としたデッドorアライヴな世界に身を置く、ワイルドな男である。 「ヨーコさぁーん! 晩ごはん出来ましたよー」  さぶ太郎がテントの向こう……彼女が水を飲みに行った小川の方へ足を運ぶと。 「……はっ! ヨーコさん!?」  ショートボブにレザースカートとブーツ。その身に天然皮の頭巾をまとったキュートな女の子……チャン・ヨーコが小川のほとりでゆらりと振り返った。  その足元には、いかにも屈強そうなヒポポン族の大男がのびている。
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