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卵をといてミルクを混ぜて。グラニュー糖ではなくハチミツを入れるのが『彼』流。
その甘ーい卵液に、バゲットをくぐらせる。じゅわぁっと染み込ませるよりも、サラッとくぐらせただけでサックリ焼くのが『彼女』の好み。
「んふふ~♪ いい匂いでござる。野営でフレンチトースト、なんともシャレオツでござるなぁ」
さぶ太郎は焚火の上でフライパンを振りながら、にゃぱっと微笑んだ。
真っ白フカフカな全身に黒い忍び装束、三角ケモ耳の頭も頬かむりで覆われている。
ニャンパラ族に良く間違えられるが、彼はれっきとした狼のウルフゥ族&忍者のコガニン族とのハーフ。
そして、賞金稼ぎを生業としたデッドorアライヴな世界に身を置く、ワイルドな男である。
「ヨーコさぁーん! 晩ごはん出来ましたよー」
さぶ太郎がテントの向こう……彼女が水を飲みに行った小川の方へ足を運ぶと。
「……はっ! ヨーコさん!?」
ショートボブにレザースカートとブーツ。その身に天然皮の頭巾をまとったキュートな女の子……チャン・ヨーコが小川のほとりでゆらりと振り返った。
その足元には、いかにも屈強そうなヒポポン族の大男がのびている。
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