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それぞれの秘所を異性に見られた場合、その者の婿又は嫁になるという厳しい掟。
だからこそ、こうして賞金稼ぎの旅も共にしているのだが……いかんせん、さぶ太郎とヨーコの温度差は激しい。
(ヨーコさんはいつになったら拙者をムコと認めてくれるのかなぁ……)
切ないため息をぷぅと吐き、さぶ太郎は大好きなヨーコの晩ごはんの給仕に向かう。
決して小間使い、召使いではなく、さぶ太郎はヨーコのムコなのだ……。
「ヨーコさぁーん♪ あやつ、縛ってきましたぁ。晩ご飯にしましょう」
「晩ごはんって……やっぱコレなの?」
ヨーコが可愛い眉根にシワを寄せて、フレンチトーストの乗った皿を見つめている。
「そーですよ。ヨーコさん、拙者の(フレンチトースト)好きでしょ?」
「好きだけどさ。朝食じゃないんだから……」
「やっぱ拙者の(コト)好き!? ですよね、にゃははは、そっか好きかぁ」
さぶ太郎が頬かむりの顔と頭をこねくり回して照れる。
そんなささやかなご都合主義で己を慰める、ちょっぴりお気の毒なさぶ太郎であった。
「あ、でも目玉焼きとハムも用意したでござるよ」
そう言って彼が差し出した皿の上に乗っているのは、ぷるぷる目玉焼きと……ちっちゃいピンクの子豚(丸ごと)。
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