第二話 さぶミッション ~拙者のヨメはお尋ね者でござる~

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「月夜はやけに五感が冴えます……アナタがずっと拙者を窺っていた事、知っていたでござる」  ずるりと刀から崩れ落ちた男に、クナイのスカイウォンを差し向ける。 【ウルヴァーナ族、名:ガロ 愉快殺傷にて指名手配。報奨金4000t DEAD OR ALIVE】 「ウルヴァーナ族って言ったら、イタチ派生? クズリだっけ……まあ今さらどうでもいいでござるが」  すでにこと切れた敵の情報など、もう意味はない。そんな事よりも。 「あああーー! ヨーコさんに会いたいでござるーー!」  普通に禁断症状が出た。最近のさぶ太郎の持病である。  だが彼はとても律義。今夜のアンニュイに付き合ってくれたネット友達に、まずはピコピコとお礼のレスを打った。 【かたじけない!:ケムさん感謝。 アドヴァイスを胸に刻み、また一から頑張る所存でござる。月見団子、今度作ってアップしますね! @しぶ太郎】 【りょ:しぶ太郎さん。 くれぐれもヨメのスカートをいきなりめくったりしたらダメですからねwww どんばれ @鬼武者ケムマキさんより】 (えっ……?)  そのレスポンスを見て、さぶ太郎は息を飲んだ。 (スカートめくり……? もしかして、このケムさんって……!)  パチンとスカイウォンを切ってクナイを腰帯に収める。そして懐からウレタンコーティングを施した風呂敷を取り出した。 (間違いない……! 鬼武者ケムマキさんは……!)
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