34人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええと、サイサイ族で名前は『ゴーダ』。芋盗罪にて手配……やだ、報奨金1,000tじゃない、安っ!」
ヨーコは肩をすくめて頭巾を翻した。
「まてまて! オレ様はまだ売出し中で、これからいっぱい悪いことする予定なんだ。報奨金もすぐに跳ね上がる!」
「だったらその頃また来て。1,000トンガじゃ今夜の酒代にもならないわ」
「んなコト言わずに勝負してくれぇ! 悪名高いピグずきんチャンと一戦交えただけでも名は上がるんだ。田舎の母ちゃんを安心させてやりて……」
次の瞬間、振り返ったヨーコの頭巾が跳ね上がった。
ガツッ……!
ゴーダの視界が突如、普段とは違った広々としたものになる。彼の見えているビジョンはいつも、中心にそそり立つモノがあるのに。
「…………え?」
ヨーコの鞭で折り取られ、宙に舞う鼻先の角。
「報奨金よりコッチの方が高く売れるわ」
ストンと角がヨーコの手の中に収まり、そこでようやくゴーダも何が起こったのかを思い知る。
「角が……折られた」
ガクンと膝をつき、ゴーダが愕然と自分の鼻を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!