第三話 さよなら、ブルートパーズ ~もうムコは要らない~

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 ──砂交じりの茶色い風が荒野を渡る。  その道なき道をマント……いや、頭巾をはためかせて行く一人のお尋ね者。 「そこを退きなさい。あたし急いでるの」  ザァァ……ッと強い風が吹き、その者の頭巾フードを取り払った。現れたのは花のかんばせ、ショートボブの絹髪、そして夜叉にも似た鋭すぎる眼光の……若き娘。  一方、行く手を阻んだのは大きな甲羅を供えた、亀派生の人獣と見受けられる。 「み、見つけたキャメ! 1億t(トンガ)の賞金首”ピグずきんチャン=ヨーコ”! オラと勝負しろ!」  そう。彼女はケタ外れの賞金がかかった超・極悪非道のお尋ね者。手配書にはDEAD OR ALIVE(捕獲に生死を問わず)の文字が明記されている。 「勝負なんて回りくどいわ。ほら、あそこに切り立った山があるじゃない、天辺が青く光ってる。登って飛び降りた方が簡単よ?」 「自殺したいんじゃないキャメ! オラおめぇを倒して金持ちになって婚活するんだ!」  ピシッ!とヨーコのこめかみに青筋が立った。 「キャメッメッ! 金があって、噂のプギずきんを倒した強い男とくりゃあ、女なんてよりどりみど……ホゲッ!?」
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