第三話 さよなら、ブルートパーズ ~もうムコは要らない~

3/17
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
 キャメ男の顔が、ヨーコにわしづかみにされてギリギリと変形していく。 「女を舐めるんじゃない……!」 「グゴァ……ッ? ガ、ガゲグオ……」  キャメ男を吊し上げるヨーコは、今や般若か鬼神か、はたまた地獄の大王か。 「お金とか強さとか……、掟とか料理上手とか、素直とかフカフカとかLOVEアピール全開とか!」 「ホゲ!? ホガガゴゲニョーー!?」 「そんな事でホイホイその気になるほど、女は単純じゃないの!」  バキッ!と頬骨が折れて、キャメ男は地に落とされた。 「ヒイイイイーーッ!!」 「弱いヤツは働いて稼げ! 今すぐあたしの前から消えないと……」  頭巾の下のヨーコの口角が耳までクワアッと裂ける。 「……消す」  次の瞬間、キャメ男は脱兎の如く荒野の果てへ消えていった。ある意味賢明、判断力はあったキャメ男。 「全く。男ってどうしてこう単純でアポなの……!」  どうやらヨーコの逆鱗に触れたのは、弱さだけではない模様。 『ははは、オトコはそういう生き物だぞぃ。この父もな』  その声はヨーコの頭巾から発せられた。何を隠そう、これは彼女の父親そのもの。 「おとさんは別。皮だけになっても非の打ち所がない戦士よ」
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!