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『いやムコどの。いくらなんでも千里眼じゃあるまいし』
父のマンタイがヨーコの頭の上から指摘した。
「さすが義父上。ホントはアチコチにお尋ね者が伸びてました。それを辿って来たでござるー」
『童話にあったなぁ。千切ったパンを落としていくって』
「べ、別に道しるべに置いてきたんじゃないわ! 回収する官憲がトロ臭いのよ!」
ぷいっと横を向いてヨーコが口を尖らせる。
許婚者ではあるものの、ヨーコはまださぶ太郎の嫁になる事を良しとしない。
「でも買い物先でイイモノ見つけたでござる。見て見て、にゅーーん!」
おかしなオノマトペでさぶ太郎が広げたのは。
『おお! これはムコどのの手配書ではないか。初めて見たぞぃ』
カメラ目線で巻物を広げるさぶ太郎のドアップ。それは《ウォンテッド・生け捕りに限る・報奨金8トンガ》……と記された政府発行の手配書だった。
「前に『写真撮らせて』って見知らぬ御仁に頼まれたでござるが、まさか手配書用とは。隠れ蓑の術でコッショリ掲示板から剥がして来ちゃったー」
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