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「美味いでござるなぁ、ここの料理! 後でレシピ教えてもらいたーい」
「あ、ウェイトレスさん。あたしウォッカもう一杯」
町で最初に目についた宿屋に部屋を取り、一向はその食堂でディナーと洒落込んでいた。
各テーブルには一輪挿しの花、そして壁一面には……主だった極悪人の手配書がズラリ。
その中央の手配書と同じ顔の娘が食事をしているのを、周囲の客たちは恐々と見守っている。
「……お待たせしました。本日のスープ【オクラのポタージュ】です」
ウェイターがコトンと置いたスープにヨーコは目を輝かせた。
「あたしポタージュ好き。いただきまーす」
「好き!? 好きですと!? おのれポタージュ、汁物の分際でヨーコさんの貴重な”好き”の称号を……!」
「……バカなの?」
「ムコでござる! ええい、こんな緑の液体なぞこうしてくれるわーー!」
さぶ太郎は猛然と匙を取り上げてスープに口をつけた。その瞬間。
「──ふぐっ!? ゴバァッ!!」
突然カッと目を見開き、吐き出したスープがテーブルの一輪挿しの花を直撃する。
「わっ、汚い! おバカニャンパラ! 慌てるからそういう……」
「ヨーコさん!!」
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