第三話 さよなら、ブルートパーズ ~もうムコは要らない~

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※※※※※ 「美味いでござるなぁ、ここの料理! 後でレシピ教えてもらいたーい」 「あ、ウェイトレスさん。あたしウォッカもう一杯」  町で最初に目についた宿屋に部屋を取り、一向はその食堂でディナーと洒落込んでいた。  各テーブルには一輪挿しの花、そして壁一面には……主だった極悪人の手配書がズラリ。  その中央の手配書と同じ顔の娘が食事をしているのを、周囲の客たちは恐々と見守っている。 「……お待たせしました。本日のスープ【オクラのポタージュ】です」  ウェイターがコトンと置いたスープにヨーコは目を輝かせた。 「あたしポタージュ好き。いただきまーす」 「好き!? 好きですと!? おのれポタージュ、汁物の分際でヨーコさんの貴重な”好き”の称号を……!」 「……バカなの?」 「ムコでござる! ええい、こんな緑の液体なぞこうしてくれるわーー!」  さぶ太郎は猛然と匙を取り上げてスープに口をつけた。その瞬間。 「──ふぐっ!? ゴバァッ!!」  突然カッと目を見開き、吐き出したスープがテーブルの一輪挿しの花を直撃する。 「わっ、汚い! おバカニャンパラ! 慌てるからそういう……」 「ヨーコさん!!」
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