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「おとさん……」
『明日この町を出て、どこか美しい場所に埋葬してやろう。祝言こそまだであったが……お前のムコどのだ』
マンタイの気遣いに押され、ヨーコはさぶ太郎を抱えて部屋に戻った。
いつもなら当然ヨーコが使うはずのベッドに、忍び装束の小さな亡骸を横たえる。
「だから嫌だったのよ……」
ぽつり、ヨーコのつぶやきがさぶ太郎に落ちた。
「あたしは1億tの賞金首。一緒にいれば否応なくあんたにも危険が及ぶわ。ちょっと変な術が使えたって、いつかはこうなると……」
ヨーコはさぶ太郎の頬かむりに手を伸ばし、静かに脱がせた。
現れたのはピョコッと可愛い、コガニン族の大事な秘所、三角ケモ耳。
「ふふ……。あたしも時々、寝てるあんたの耳をこっそり堪能してたの。文句なんか言わせないわよ、なぜならあたしは」
ふわふわの耳をニギニギ。それは得も言われぬ癒しの感触。
「さぶたろのヨメだから……。でも」
もう片方の手で、ヨーコは胸元のペンダントを引き出して彼に差し向けた。
これは手配者の名前や報奨金額などの様々なデータが検索できる、Skywanという機器。
宙に浮かび上がったホログラムが映し出したさぶ太郎の情報は。
「ほら、ちょうど消えてく。”チャン=ヨーコの婿”って記述が……」
見る間に霞み消えていくその文字。マンタイから連絡がいき、政府が処理したのだろう。
「あたしたち、……もうムコとヨメじゃない」
おそらくヨーコのプロフィールからも”さぶ太郎の嫁”という追記は削除されている。
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