第三話 さよなら、ブルートパーズ ~もうムコは要らない~

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「あたしはもう二度とムコなんか持たない。万が一この先、誰かに尻尾(秘所)を見られたら……」  今までどこかで目を瞑っていたキモチ。 「その場で殺すわ」    口には出来なかったヨーコのキモチ。それが手向けの言葉。 「あたしのムコは、後にも先にもあんただけよ……さぶたろ」  涙なんて知らない、知る必要もない。だからこれは、きっと…… 『ヨーコォォォオーー!! 泣いとる場合ではなーーい!』  バタン!と無遠慮にドアが開き、マンタイが宿の店主レオンに抱えられて現れた。 「やっ!? お、おとさん聞いてたの!? ああああたし泣いてないしっ! てかなに、なんなの!?」 『ムコどのが生き返る手段があるそうな! さあレオンさん!』 「え……っ!?」  レロレロと舌を巻きながら、レオンが遠慮がちに部屋に入ってくる。 「死者の魂を呼び戻すブルートパーズという魔鉱石があるんですレロ」 「ブルートパーズ? トパーズなのに青いの?」  その宝石はよく市場にも出回るが、大抵は黄色や透明で青いものなど見た事がない。 「はいレロ。町の西方にあるクロワッ(さん)の天辺で採掘できます。その稀少性と不思議な力で、町の大事な収入源なんですが……特別にお教えしますレロ」
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