34人が本棚に入れています
本棚に追加
「今のが巷で噂のヒヅメ鞭……速すぎて抜くのも見えなかった……!」
先端にピグみん族の硬い蹄を取り付けたヨーコ愛用の鞭。時に破壊、時に捕縛、時にシバキ倒す、これ一本で彼女は群がる敵を蹴散らしてきたのだ。
「角は貰っとくわ。悪く思わないで」
「思わない! この折れ口、ザシュッとポキッと、めっちゃカッケー!」
なぜかゴーダは嬉々として天に吠えている。
「え、いいの? 角って言ったらサイサイ族のシンボルかと」
「そーなんだよ! だからさ、戦いでこれが折れたら戦士は引退って掟があるんだ。でもプギずきんチャンと殺り合って折れたならむしろ栄誉だ、きっと田舎に帰ったらモテ期がくる!」
ヨーコがもう一度ゴーダの手配書を映し出すと、大きなバッテンが彼の顔写真につき、その下に『チャン・ヨーコにて捕獲』と情報欄が自動更新されている。
「アホらし……じゃあさっさと消えたら? この位置情報も政府に自動送信されてるんだから、すぐに官憲が来るわ」
「えっ!? 突き出さないのか?」
「角もらったし。その代わり真っ直ぐ田舎に帰って、おかさん孝行でもしなさい。もしまたイモ泥棒とか情報が加わったら……」
最初のコメントを投稿しよう!