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上目遣いになったヨーコの瞳の色が、ギラリと羅刹の色を帯びた。
「今度は首をもぎ取るわ……どこにいたって追い詰めるから」
本意気の殺られる気配に、ゴーダの巨体がぷるぷると震え出す。
「スゴイ……さすが自分の父親を殺し、生皮を剥いで頭巾にする非道な女。悪党のレベルが違う! わ、わかってる、ちゃんと田舎でメロン農家を継ぐよ!」
「ならよし。行って」
さぃならー……と、木霊のような別れの言葉を残しゴーダは一目散に走り去った。
その後に残されたのは。
「……なに、アンタ。いつからいたの」
ヨーコの花の顔が、実にしょっぱい顔になる。
「ゴーダ殿の後ろでずっと順番を待っていたでござる」
そこには、全身黒い忍び装束のチッコイ奴が立っていた。
覗く手足や顔は真っ白でフカフカ、頭部は頬かむりで覆われているが、ピコッと三角ケモ耳のカタチが見て取れる。
「あ、白いしっぽも出てる。ニャンパラ族ね?」
「ち、違うでござる! 拙者は狼のウルフゥ族と忍者のコガニン族のハーフ、さぶ太郎と申す」
ペコンと頭を下げて、さぶ太郎が良い子のご挨拶。
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