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「そ、そうか! ヨーコ殿のブーツは厚底、菱の実を乾燥させただけのマキビシは効かないのか!」
ガシッとさぶ太郎の胸倉が掴まれ、吊し上げられた。
「どこまでふざけ倒すつもり……? こんな実力であたしに挑んでくるんじゃないわよ! 何が危うしヨーコだ!」
「言ってません言ってません! え、言ってました!?」
ガクガクと揺すられ、さらに∞の字に振り回されて、さぶ太郎のシッポが宙を舞う。
「だいたいニャンパラ族なんて、可愛くにゃんぱらりんとでも言ってりゃいいのよ! なんでデッドORアライヴな世界に首ツッコんでんの!」
「違いますもん! 拙者はニャンパラ族じゃない、コガニンと孤高のウルフゥ族のハーフだって……」
「嘘つくな! ちょっとこの被り物取りなさいよ。絶対耳はウルフゥ族のじゃないわ、ニャンパラのはず!」
イライラ絶頂のヨーコが頬かむりを掴んだ。けれど、さぶ太郎も負けじと必死で耳元を押さえる。
「ちょ、やめてください! コガニン族は装束の下の耳を晒しちゃイケナイんです、見られたら……!」
「あれ? さっきのマキビシ、金平糖が混じってる」
ふいにヨーコが足元を指さした。
「え、おやつが混じってました?」
「隙ありーー!」
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