初めまして赤ちゃん

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初めまして赤ちゃん

何時間苦しんだのか…。 痛くて…痛くて… 息が出来なくて… 力みたくなっても、ダメだと叱られて… ようやく、陣痛室に移動する事ができました。 「ごめんな、しんどいよな…もうちょっと頑張って」 そう言ってずっと手を握って居てくれました。 陣痛室に移動して、どのくらい経ったのか…、ようやく分娩室に行く事ができました。 もうこの時既に限界で… 「無理、出る!」 と、何度も繰り返し、パニックでした。 それでも稔君は冷静で… 「明日香?息。あかちゃん苦しいよ?」 その声で落ち着くことが出来ました。 先生のかけ声で、数回力んで、ようやく出てきてくれました。 大きな声で泣く声が聞こえて来ました。 「元気な女の子ですよ」 って、私の胸元に来た赤ちゃん。 愛おしくて、愛おしくてたまりませんでした。 稔君も泣いていました。 「赤ちゃん、綺麗にしてきますね。処置するんで、パパもお外でお待ちください。」 「はい、わかりました。明日香?ありがとう。本間にありがとう」 稔君は号泣しながら、私の頭を撫でてくれました。 「ママにしてくれてありがとう。」 2人して、泣きながら笑い合いました。 私は処置が終わり、車椅子に乗せられ、分娩室を出ました。 入口には稔君。 「僕が押します。」 私は稔君に病室まで、連れて行ってもらいました。 「お疲れ様。もう痛くない?」 「うん、今はそんなに…でも疲れちゃった」 「ゆっくり休まないとね」 「うん、稔君ももう帰って寝てね。」 でも、彼は私が眠りにつくまで、横で手を握ってくれていました。 私はこの日、ママになりました。 稔君はパパになりました。 家族3人。 幸せで、これからが楽しみでした。
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