縮まる距離

1/1
197人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ

縮まる距離

閉店後、本社とも連絡を取り、山田くんのご両親にも来て頂き、話をしました。 山田くんはクビ。携帯を解約するのを条件に警察には連絡しない。 そう決まり話は解決しました。 みんなが帰宅し、店長と二人きりになった瞬間、先程我慢していた涙が一気に流れ出ました。 「よくここまで我慢してくれた。」 そう言いながら、店長は私の頭を撫でました。 それにより一層涙が止まらなくなり… 「我慢させて、悪かった。ごめん。」 もー涙なのか鼻水なのか、わからない状態。 「頼むから泣き止んで?」 本気で泣きじゃくる私を見て、困り果てた店長は、私を引き寄せ抱きしめながら、頭を撫でました。 この時の私には、恥ずかしい…とか 戸惑う事もなく… 安心する事ができました。 しばらくして、落ち着いた私は 「すみません、もう大丈夫です。」 そう言って店長から離れました。 店長は以前から、私が山田くんにしつこく言い寄られてるのを知っていました。 携帯を確認した後、私の様子がおかしい事も気づいていたそうです。 「今日は念の為、送るから。」 私はその言葉に甘える事にしました。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!