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恐怖
店長と店を後にし、自宅を目前にし
「大丈夫だと思うけど…一応ね。」
「ありが…」私はきちんとお礼を言うことが出来なくなってしまいました。
私が自宅前で目にしたのは…
先程クビになった山田くんの姿でした。
顔面蒼白で、震える私を見て店長も山田くんに気づき
「ちょっと待ってて。」
そう言って山田くんの所に走って行きました。
車の中に居た私には、話の内容は聞こえませんでしたが、山田くんは帰っていきました。
車に戻ってきた店長は
「大丈夫?もう大丈夫だから、次はないと思うから。」
私は車から降りる事が出来ませんでした。
「一緒に居てください。」
そうお願いしたのは私からでした。
「え?いや…それは…」
「そうですよね!ごめんなさい」
そう言って車を出ようとした時、私の携帯がなりました。
画面に表示されてるのは、山田くんの番号…
「出なくていい!」
震える私の手から、店長は携帯を取りました。
着信が切れたと同時に……
ピロン🎶
ピロン🎶
ピロン🎶
ピロン🎶
鳴り響く通知音。
「開いていい?」
「はい…」
やっぱり山田くんでした。
…どうして店長と居るんですか?…
…付き合ってるんですか?…
…謝りたい。…
…会って謝りたい。…
…携帯を解約する前に話したい…
…好きです…
…好きです…
山田くんから尋常ではない数のメール。
もう恐怖を通り越し、真っ白になり、固まってしまいました。
「部屋まで行っても大丈夫?」
私は頷きました。
車を駐車場にとめ、立ってるのもやっとの私を支えながら、部屋まで連れて行ってくれました。
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