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「あ、あいつ誰にでもそうやろ!?俺だけやない!」
「やけん何!?」
「やけんって…」
「誰にでもするけん気にするなって!?そんなん無理やけん!」
もうすぐ離れてしまう。
一緒に居られない。
それがどれほど不安で怖いか、わからないはずないのに。
最後のイベントが終われば、宏太は受験勉強に専念し、会えるのに会えなくなる。だから…せめてそれまでは本当は眠る時間を削ってでも会いたいのに。そう思ってしまうほど好きなのは自分だけなのか…
いつの間にか離れていた身体をまどかの腕を引き宏太が戻す。
「ごめん、俺全然気にせんくて」
「うん…うちも……子供みたいなことゆうて…ごめんね」
ぎゅうと強く抱き締められ、まどかが息を飲む。
触れるだけのキスは数えきれないほど。
ハグは両手で数えられるほど。
宏太が越えようとしないそこから先を、友達に揶揄われてもかまわなかった。
宏太の気持ちはここにある。
「宏ちゃん……好き、やけん…」
「……ん」
「仲直りしてから…帰って」
「………ん」
体温を分け合うように重なっていた身体が僅かに離され、冷たい唇が触れた。
あと何回かな、宏ちゃん。
あと何回手を繋げる?
あと何回…キスしてくれる?
バスのライトが遠くに見えるまで二人は触れるだけのくちづけを繰り返した。
離さないと強く強く握られた手をまどかも強く握りしめながら…
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