① 私の嫌いな……。 白田side.

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① 私の嫌いな……。 白田side.

 出社時間は規定により始業ぎりぎり。通勤手当もない、残業はめったにさせてもらえない。白いデスクと黒い椅子が私のテリトリー。 「派遣さん、ちょっと」  名前を呼んでもらえないことは慣れている。声の方を向けば、書類を抱えた男性社員がこちらを見ていた。青白い顔に黒縁の眼鏡をかけた彼は私よりも年下らしい。 「これ、会議の資料。三十部コピーして会議室の卓上に並べておいて。十時までによろしく。こんな仕事ならすぐにできるでしょ」  いつも上から目線なのが気に食わない。今時、紙の資料なんて遅れているよ。私もやりかけの仕事があるんだけど。これ、あんたの仕事でしょうが。なんでも押し付けないでよ。  心の中で悪態をつきながら渋々立ち上がり、『分かりました』と抑揚のない声で答えて書類を受け取った。
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