coffin

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coffin

 棺桶に生きているうちに入るのは不思議な感覚だ。 革張りの柔らかい箱の中、目を閉じれば自然と眠くなる。    死は眠りに似ている。 ふと、教授の言葉が頭をよぎる。 隣にいる人形の呼び声が遠くなる。 何だ、もう俺は寝てたいんだ。 「ちょっと人間!寝ないで!これは罠よ! どうもおかしい、なんで地獄に行く為に棺桶に入らなければならないの? あまりにも話がすんなり進みすぎているわよ!」 煩いなぁ、俺はもう疲れたんだ呼びかけないでくれ。 煩わしいと寝返りを打ち、そっぽを向く。 次第に呼吸が深くなり、スゥスゥと寝息を立てる。
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