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私は周りと合わせるために、興味のないテレビも見たし、興味のない雑誌も読んでいた。
そうしないと、会話に入れないし、入れてもらえなかったから。そして何よりも、その事で仲間外れにされてしまうから。
興味のないものに時間を費やすのは、とてもストレスだったけど、仕方なかった。穏やかに生きていくためには必要だったから。
だけど揚羽は違った。
興味のないものは、興味がないからとはっきりと周りに告げていた。それに、自分から話し掛けることはほとんどなく、休み時間は静かに本を読んでいた。
それでも揚羽は仲間外れにはされなかった。
それどころか、クールだのミステリアスだの言って、揚羽に皆声を掛けていた。
私が同じ事をしていた時、周りは私を暗いとかつまらないと言って、邪険に扱ったのに…
揚羽が美人だから、私の時と違うの?
私が美人だったら、私は自分を偽らなくても、あの輪の中に入れたの?
でも今は、偽っても入れない。ならば私はもう、封じ込めた自分を認めてもいいの?ううん、ダメ!あれでダメだったから、今の私なんだから。今の私がダメなら、また別の…
「揚羽ちゃん、委員長がこっち睨んでるよ、やだ怖〜い」
琴音がこちらを見て、わざと大きな声で言った。それに反応して、周りの人がクスクスと笑った。
これがいじめとなのかは分からない。特に何かをされる訳ではなかったけど、日に日に私に対する陰口が増えていった。
それでも私は、聞こえないふりをして、変わらずに笑顔を見せて、明るく振舞った。
そして揚羽への嫌悪ばかりが大きくなっていった。
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