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変わらない憂鬱な日々
そんなある日の放課後、教室に入ろうとすると、中の声が偶然聞こえてきた。
「私、委員長ってなんか嫌〜い」
それは、親友だと思っていた琴音の声だった。
「なんかさ〜、いっつもヘラヘラしてて、本当は興味ないくせに、話し合わせてさ〜」
揚羽が現れて、一番私に対する態度が変わったのが、琴音だった。陰口を一番言っているのも、変な噂や、私の過去の失敗談なんかも言いふらしているのも、琴音だった。
「委員長と仲良くしてたら、先生とかにも高評価かなぁと思って仲良くしてたけど、私は揚羽ちゃんみたいな、落ち着いてて知的な子と仲良くした〜い」
扉の隙間から、そっと中を覗き込むと、琴音が揚羽に抱きついていて、それを嫌そうな顔で揚羽に拒まれていた。
「そういうつれないとこもステキ」
琴音は、迷惑そうな表情の揚羽に、再度抱きついていた。
私は悔しくて、目に涙を滲ませた。そして胃がキリキリと痛み出して、その場にしゃがみ込んだ。
揚羽は、私が上手く生きていくために、無理して封じた自分そのものなのに。それが受け入れられて、苦労して作り上げた私が受け入れられないなんて…
揚羽が現れるまでは上手くいっていたし、揚羽が現れなければ、あのままずっと上手くやっていけたのに。
私の中から出てきたくせに、私をなんでこんなに苦しめるの?
もしかして、あの揚羽の姿をした化け物は、私の『居場所』を、私という存在を奪おうとしているんじゃないの?!
そんな考えに行き着いて、私の中の色々な感情が渦巻いて、吐き気がしてきて、私は中の二人に気づかれないように、小走りでトイレに向かった。
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