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トイレの個室に籠り、胃の中のものを全て吐き出した。それと同時に、私の中で渦巻いていた感情も吐き出した。
声には出さないけど、揚羽を嫌いな気持ちも、揚羽のような、封じ込めた本当の自分が嫌いという気持ちも、親友と思っていた琴音の真実に対する悔しさ、悲しさ、憎しみ全てを吐き出して、全てを流した。
私は個室から出て、ふと違和感を感じた。
放課後と言っても、なんだか静か過ぎる。
この場所に誰もいないのもあるかもしれないけど、廊下に人の気配を感じないし、外から部活動をしている生徒の声も聞こえてこない。
なんかおかしい
そう思いながら、手を洗い、口をすすいで顔を上げると、鏡には私の顔でなく、揚羽の顔が写っていた。
「ひっ……」
あまりの恐怖で小さな悲鳴しか漏らすことが出来す、私は腰が抜けそうになるのを、必死にこらえた。
鏡の中の揚羽は、そんな私を見て、ニタリと笑った。
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