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人は集団の中で、いかに上手くやっていこうか、いかに嫌われないか、そんな事を考えて、自分を押さえ込み、偽り生きている。
そして、自分の中の嫌いな部分も、捨てたいのに捨てられずに、それを箱の中に押し込んで、鍵を掛けて、鎖でぐるぐる巻きにして、心の片隅に保管している。
生きていく為に封じた自分、嫌いだと封じた自分、それはいつしか大きな蛹になって、限界が来た時に、蝶のように羽化してしまう。
それは
本当に在りたい姿
それが私たち黒揚羽
本人の周りで美しく舞い
あなたは偽らなくても、生きていけるんだ
そう伝えるのだけど、自分の嫌な部分も受け入れる事を望むのだけど
その望みはほぼ叶わない。
「私たちは二人で一つなのにね」
私は残念そうに呟いて、口の端を小さく吊り上げた。
少し離れた場所から、クラスメイトが私の名を呼んで、手を振っていた。
私は手を振り返し、笑顔でクラスメイトの元へと向かった。
私を向かい入れるこの子たちも、私と同じ…
この世界は
黒揚羽舞う世界
失った本物の自分は、二度と戻ってはこない。
そして私はもう
『揚羽』
という名前ではない存在…
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