お菓子

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お菓子

 美術館でじっくりと裸婦の絵を見た後もまだ時間があったので、私は先生のおうちにお邪魔することにした。お目当ては、先生の同僚が買ってきたという高級チョコだ。 「おいしい……」  先生にいれてもらったコーヒーと合わせて食べるとなおおいしい。生きていてよかった。 「喜んでもらえてよかった。俺1人だと持て余していたから」  ふと我に返ると隣に先生が座っていて、チョコをぱくぱくと頬張る私をにこにこと眺めていた。でも、先生は手をつける様子はない。 「先生、チョコ苦手なんですか?」  こんなおいしいものを食べないなんて……!! 「ばれたか」  先生がぺろりと舌を出す。 「だって、全然食べていないから」 「あの口に残る甘ったるい感じがどうも好きになれなくてさ。チョコだけでなく、甘いものはだめだ」 「そうなんですね」  ブラックコーヒーさえあれば、生きていけるタイプなのか。先生は。そんなことを私がかんがえていた時、 「ただ……」  先生が私の顔を引き寄せてキスをした。 「んっ……」  不意打ちのキス、ずるい。まだ心の準備ができていなかったのに。 「甘い雰囲気は好きだぞ。かわいい心春が見られるからなあ」  先生が私をソファに押し倒す。いじめる気満々の先生に抵抗なんて、もうできない。
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