2177人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
お菓子
美術館でじっくりと裸婦の絵を見た後もまだ時間があったので、私は先生のおうちにお邪魔することにした。お目当ては、先生の同僚が買ってきたという高級チョコだ。
「おいしい……」
先生にいれてもらったコーヒーと合わせて食べるとなおおいしい。生きていてよかった。
「喜んでもらえてよかった。俺1人だと持て余していたから」
ふと我に返ると隣に先生が座っていて、チョコをぱくぱくと頬張る私をにこにこと眺めていた。でも、先生は手をつける様子はない。
「先生、チョコ苦手なんですか?」
こんなおいしいものを食べないなんて……!!
「ばれたか」
先生がぺろりと舌を出す。
「だって、全然食べていないから」
「あの口に残る甘ったるい感じがどうも好きになれなくてさ。チョコだけでなく、甘いものはだめだ」
「そうなんですね」
ブラックコーヒーさえあれば、生きていけるタイプなのか。先生は。そんなことを私がかんがえていた時、
「ただ……」
先生が私の顔を引き寄せてキスをした。
「んっ……」
不意打ちのキス、ずるい。まだ心の準備ができていなかったのに。
「甘い雰囲気は好きだぞ。かわいい心春が見られるからなあ」
先生が私をソファに押し倒す。いじめる気満々の先生に抵抗なんて、もうできない。
最初のコメントを投稿しよう!