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ヤキモチ
ポジティブな私に頑張らせようと試みるものの、やっぱりネガティブな私の方が今日は強い。男女の幼なじみに純粋な友情が成り立つものなのか。先生は実をいうとみのりさんの方が好きなのではないか。私の中では色々な感情が渦巻いていたけど、先生は相変わらずで、
「はい。あ~んして。心春」
とバカップルモード全開だ。はしでおかずを持って構えている。でも、
「ちょっと!!それは家でやってください!!」
私は、今、そういう気分じゃない。さきほどまでのみのりさんとのやりとりが思い出されて、腹が立ち、そっぽを向いた。
「大丈夫。個室だから」
そういう問題じゃない!! 声を大にして私はそう言ってやりたかったけど、
「そうですか?」
適当に相づちを打つことにした。すると、
「なんか機嫌悪そうだな」
さすがに気がついたのか先生が私の顔色を伺い始めた。
「気のせいです」
私は自分の気持ちがコントロールできなくて、いらいらとしていた。すると、
「もしかして……」
先生が何かひらめいたらしい。
「言いたいことがあるのならどうぞ」
どうせこんなささくれだった感情なんて先生にはわからないでしょう……と思っていたけど、
「妬いてるな。みのりに」
先生は、ずばり当ててみせた。
「そ、そんなことはないです」
当てられると思っていなかったものだから、焦ってうろたえる。でも、悟られるのも癪で平然を装っていた。先生は、
「本当のことを言ってみろよ。何か言いたいことがあるのは心春のほうだろ?」
小さな子どもに諭すような口調で私に言う。そう優しい声で言われると、へんな意地を張る気もなくなってきて、涙があふれてきた。そして、
「だって……先生がすごく楽しそうだから……みのりさんきれいな人だし……本当に私でよかったのかな……って思って」
私はつい本音を喋ってしまった。先生が泣きじゃくる私にそっとハンカチを手渡す。こんな時でもさりげなく優しい先生に私はきゅんとしてしまった。
「俺にとっては心春が1番かわいいのに。自分を卑下する必要なんか全然ないぞ」
卑下……私は無意識のうちに自分をそういう目で見ていたのか。気が付かなかった。先生は私以上に私のことをよく知っているんだなと思う。
「本当に……?」
潤んだ瞳で先生を見つめる。すると、
「本当だ。それに、本人も言っていただろ? 遠距離恋愛中の彼氏がいるって。みのりも俺も悪気はなかったんだ。気に障ったなら謝る。ごめんな」
先生は、へんなところで気が強い私をこうやって泣かせて本音を言わせる。本当にこの人にはかなわない。
「先生のバカ……」
真顔で謝られると、また涙があふれてきてしまう。先生はそんな私を静かに見守りながら、
「まあ、そう言うなよ。あとでお詫びはするから、泣くなって。なっ?」
と笑っていた。私も、
「はい」
と笑顔で答える。先生のお詫び……の真意を知らないままに。
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