第一話 その少年、危険につき

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 ──政府直轄武装組織「葉隠」所有牢獄──  そこは様々な武装組織によって捕えられた者達が収監される場所。司法取引が行われており、情報を提供した者は減刑される。  数有る牢獄の内の一つに、拘束具を全身に付けられた男が収監されていた。時々、ハミングが聞こえてくる。  銀鼠色の髪に灰色の瞳を持った少年。  彼は顔にまでも拘束具を付けられている為、表情までは判らない。  3か月ほど前に、「ある取引」をした際に提示された条件の下、ここに収監されている。  看守と思しき男が牢獄に近付き少年に云った。 「面会の時間だ。付いて来い」  やがて、重々しい扉がゆっくりと開く。  壁と体をつないでいた鎖が外される。  少年が気怠げに、のそのそと出てくる。  看守に急かされ、少年は牢獄を後にした。
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