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少年が口を開く。
「俺は・・・黒神朔夜。齢は十六。知ってるとは思うが。」
如月はこう見えて、メンタリストでもある。
相手の表情、眼球の動き、瞳孔の開き具合、相手の細かな仕草──、全てが相手の感情を知るための手掛かりになる。
如月は、黒神が自分を含めたこの場にいる全てを警戒しているように感じた。ロクに食事や睡眠も取れずに、三ヵ月も拘束具を付けられて閉じ込められていたのだ。無理もない。
如月は、黒神の緊張を解くために、敢えて本題に入らないことを選んだ。
「君の好きな物はあるかい?まあ、無理に、とは言わないけども」
「好きな物は・・・ラーメンとロックミュージック。それと・・・推理小説」
「それじゃあ・・・嫌いな物は?」
「嫌いな物は虫と・・・犬。それと・・・」
黒神の顔に陰りが見えた。
「いや・・・何でもない・・・」
黒神は口を噤んだが、如月は察知していた。
(「それと・・・」の続きは・・・恐らくは「自分自身」だ・・・)
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