すーちゃんの研究室

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 やぁ、また来たのかい?  いや、問題ないよ。ちょうど片付けを始めるところだったからね。あぁ、もし入室自体に遠慮しているのなら安心したまえ。ボクは君に一度たりとも入室禁止を命じたことはないのだから。それに此処は学校の一教室であって、教師でもないボクが規制をかけることなどできやしないのさ。この教室管理を任されている理化学教師も誰が入ろうと気にしていないようだしね。ただボクの見解を言わせてもらえるならば、いくら棚に鍵をかけているとはいえ劇物が保管してあるのだから多少の入室制限はした方が良いように思うんだけどね。あの美人教師はどうもその辺りの危機感というか、責任感が薄くていけない。  ふむ、確かに。それを良いことにこの教室を自由に使っているのはボクだな。放課後とはいえ部活動でもないのに一教室を自由に使わせてもらえるのはありがたいことだ。きっとあの教師は長いものには巻かれるタイプなんだろうね。出世の為には時に必要な事なのだろうけれど、生徒にまで頭が上がらないなんて、教職というのも面倒な立場だと思わないかい?  ん?ただの女好き?いや、それはないだろう。自慢することでもないがボクに女としての魅力は1ミクロンとして無いし、そもそも此処の管理責任を任されている教師は女だぞ?  ほぅ、それは初耳だ。なるほど興味深い。女生徒にセクハラをしているだなんてセンセーショナルな噂が流れていても追求や糾弾をされることなく飄々と過ごしている女教師か…ふむ、ちょうど良い。前々からあの美人教師の弱味を握れたらと思っていたんだ。すまないが、その噂がどこまで真実なのか調べてきてくれ。  誰がって、今ここには君しかいないし、ボクの話し相手も君しかいないじゃないか。理由なくこの教室へ通うくらいだし、君はどうせ今も暇をしているんだろう?  どうした?ごにょごにょと歯切れが悪い。  ふふん、なんてな。冗談だ。分かっているさ、君が此処に来る本当の理由くらい。  そんなに驚くことでもないだろう?噂の美人女教師が職員会議で不在になるこの時間、この教室で得られるものなんて限られているのだから。  それで?今日はどんな厄介話を持ってきたんだ?美人局に引っ掛かった友人の救出方法か、それとも空回りな高校デビューの打開策か。  どうした?変な顔をしているな。いつものように何か気にかかる事があるから来たんだろう?誰にも邪魔されずボクと会話出来るのは今の時間だけだからな。ボクに質問をして回答を得るにはそれなりの対価が必要だが、美人教師の調査に対する報酬として今日は特別に無償で答えてやろう。  む、今日の献上品はプリンなのか。むむむ…。  いや、気遣いは結構だ。無償だと言った手前、安易な訂正はボクのプライドが許さないからな。  ふむ、良いだろう。プリンの対価として、こちらからはすーちゃんスペシャルを提供しようではないか。コーヒー、砂糖、ミルクが1:5:5のボク特製黄金比ブレンド…いらない?それは困る。貸しは作れど借りつくるべからずがボクのポリシーなんだ。  むぅ…そこまで言うなら仕方がない。ならばグレードアップして、砂糖とミルクを更に追加した1:6:8のハイパーブレンドを…普通のコーヒーで良い?それではいつもと同じではないか。  まぁ君がそれで良いならボクは構わないが、美味しいぞ?すーちゃんスペシャル。  分かった分かった、そんなに意気込まなくてもすぐに作るから待ちたまえよ。むぅ…美味しいんだがなぁ、すーちゃんスペシャル…。
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