エピローグ

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 和人はポケットから鍵を取り出した。鍵穴にそれを入れて少しひねると、がちゃんという音が廊下に響いた。和人は深呼吸して、ゆっくりと扉を開けた。  その瞬間、強烈な冷気が部屋から溢れてきた。和人は驚いて、少し後ずさった。さらに追い討ちをかけるように、不快な機械音と変な臭いが漂って来る。    和人は恐る恐る部屋に入る。ひんやりとした不気味な空気が、部屋を満たしている。和人は必死に、これが心霊現象などではないと自分に言い聞かせた。そうだ。じっくり部屋を観察すれば、必ず答えが……。  その瞬間、旅行バックが乾いた音をたてて、床に落下した。それは、和人がそれを握る手を緩めてしまったからであった。  
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