3 a.m.

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3 a.m.

 和人は目を開けた。視界はまだ薄暗い。壁にかかった時計を見ると、午前3時を示していた。どうやら二時間ほど眠っていたらしい。だが、疲れは全く取れていない。それどころか、むしろ眠る前より体力を消耗していた。  その理由は、上半身を起こして数秒で察した。部屋が異常に暑いのだ。部屋の空気は重苦しく、僅かな風が通り過ぎる隙もない。  和人は思わず立ち上がり、キッチンに向かった。シンクに放置していたグラスを手に取ると、水道の水を入れ、それを喉に流し込んだ。  いくら真夏の夜だからといって、これだけ暑くなるはずがない。ベッドに戻った和人は、せわしなく団扇を扇ぎながら悶えていた。それでも、やはり我慢できずに、ついに開け放した窓からベランダへ出た。  その時、またしても和人の耳に音が飛び込んできた。それはモスキート音のような不快な音で、頭に直接響いているような錯覚に襲われた。  暑さで頭も働かなくなってきている。和人は本能的に危機感を覚えた。無我夢中でベランダを飛び出すと、ふらふらになりながら、部屋にまだ少し残る段ボールを蹴散らし、玄関の方へ向かう。そして散乱した靴に足を突っ込み、アパートの廊下へと脱出した。  和人は、この部屋が『厄部屋』であったことを思い出した。部屋を振り返ってみると、一瞬、その扉から溢れる『厄』が見えた気がした。
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