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「心は、高校一年からあのアニメに出てるんだもんね」
「そ。最初は神戸(かんべ)さんの代わりだったんだけどねー。今では俺の方が長く演じてるなんて信じらんないわ」
アニメが1周年を迎えた頃、奏の役を演じていた神戸さんというベテラン声優が体調を崩して入院。
その代わりとして、当時新人だった心が異例の抜擢をされたらしい。
あたしが見始めたのが心になってからだったから、心以外の奏なんて違和感しかないんだろうけど、当時を見ていた人は心に違和感だったんだろうな。
「そうだよね。心に変わってもう3年なんだもんね」
「うん。最初は叩かれないか不安だったよ。でも、やるしかないって覚悟決めてから今日まで走り抜いてきてる」
「そっかー。不安だったのに覚悟できる心、カッコイイね」
ベテラン声優から新人声優への交代。
これは、不安を感じないわけがないだろう。
逃げ出してしまいたくもなるだろうに、すごいな心は。
「うん。たまたま街で、この声好きかもーって言ってるのをみかけてさ」
心が懐かしそうに目を細める。
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