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まおちゃんのお話によると、私が誘拐される時にくっついてきたコウモリさんは、元々コッソリ精霊城に送り込まれるのがお仕事だった。
普通にここには来れないから、誘拐計画を教えてもらったまおちゃんは、連絡係のゼオ様の分体を私にくっつけて持ち込むつもりだったんだって。
にゃんにゃんが知らなかったのは、もし心を読むような敵だった時に困るから、内緒にしてたって言われたよ。
まおちゃんは精霊族は能力が特殊な者がいっぱいだからめんどくさいけど、普通に戦えば負けないって当たり前みたいに頷いた。
まおちゃんの家族──シャルとガオガオと、それから魔王城のみんな。
みんなはまおちゃんが選んだ素敵なキラキラの宝石だから、どんなことを言われても、起こっても、ずっとキラキラしてるって。
そうしたら無敵なんだって笑う。
でも、私は泣いちゃって、にゃんにゃんの手助けもできなくて、まおちゃんたちのお人形さんも盗られちゃって、ダメっ子だ。
そう言うと、まおちゃんは「でも俺とシャルの家族であることを諦めなかったんだろ? そういうところ、シャルに似てるぜ」と頭をなでてくれた。
「ククク。シャルはな、昔と比べて、結構ワガママになったんだ。だから絶対、お前も一緒じゃねぇと帰らないって駄々をこねるぜ。これと決めたら、頑固だからな」
「えご?」
「そうだ、エゴだ。別名、貫き通せば最強。俺は行くけど、お前はスーパーキラキラだぜ。俺がそう言えばそうなるんだ。異論は認めねぇ」
「私、きらきらのかぞく……うん、お留守番する! 待ってるよ。まおちゃん、私のこと好き?」
「愛してるぜ、タロー」
まおちゃんはなでていた私の頭を引き寄せて、鳥かごの隙間からほっぺにちゅーをしてくれた。
シャルにちゅーじゃなければ、まおちゃんはこうやって、さっさってかっこいいことができるよ。
シャルにすると、真っ赤っかになっちゃうんだ。シャルはまおちゃんのそれを、かわいーって言ってたよ。
ほっぺにちゅーをしたまおちゃんは、手を振って出ていった。後ろ向きに歩いていたけど、転ばない。流石魔王様!
一回戻ってきて、入口から私を見てまたバイバイした。いつものまおちゃん。
『愛してるぞ、タロー』
『愛してるぜ、タロー』
私が信じるのは、大好きな家族の言葉だ。左王腕様の言葉は、ポイポイ。耳を塞いだから聞こえてなんかないんだもん。ふふん。
だから魔王城にいた時より、上手にお留守番ができるのであーる!
「ふふん、ふふふん。私もしゃるとまおちゃんをあいしてるんだよ! ふん、ふふふん」
二人のお人形さんを両手につけて、私は同時にちゅーをした。
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