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「嫌だ、」
その言葉に、力の全てが爆発した。贄に捧げられる程の、清くて強大な力。最早霊力の類ではなく神気と呼ぶのが相応しい程に清く、無慈悲で、神聖な力。
これ以上ない程に浄められた場に、その体に、神が依り憑く。
直視する事も憚られる程に強い力を感じさせる瞳がらが、ゆっくりと、一度、瞬いた。一挙一動、存在そのものが、場に息苦しいまでの力を与える。
「帰れ、冥府の官吏如きが。」
ひどく居丈高で、だけれどそれが当然で、従う事は当たり前だと。そう感じさせるような覇気と、そして言葉に出来ぬ強さを持つ声が、その細い喉から発せられる。
「___私を呼ぶ程の人の子が、貴様程度と釣り合うものか。」
その言葉に宿った強い言霊に、そいつは瞬く間もなく、欠片も残さず消し飛んだ。
そして、ふっと、強大なその気配が消える。
恐ろしい程に浄化されたその空間に残されたのは、神を降ろし、その場に倒れる小夜だけ。
「小夜!」
「あに、さま…」
儚げに笑う彼女は、まるで自分はもうここで終いだと、そう思っているようで。
「小夜、今、なんとか、」
「ううん。もう駄目。神様に来てもらうのに、全部使っちゃった。」
体がばらばらになっちゃいそうなの、あと少ししたら。
「小夜、でもそんな、俺は、俺が、小夜に駄目って、言ったばかりに、小夜、は、」
まるで走馬灯のように、小夜と過ごした日々が頭の中を駆け巡る。決して煌びやかでも明るくもなかったけれど、必死で二人で生きてきた、日々。
小夜がいないなら、死ぬのも同じ、なのに。
「小夜はね、冥府なんかには行きたくない。あにさまと一緒に居たい。だから、」
懐に忍ばせた短刀を、彼女は取り出した。彼女と共に捧げられたそれは、今では守り刀。銘は無いけれど、刃こぼれもせず、良く働いてくれている、斬れ味も抜群の、短刀。
「…うん、大丈夫。どうすれば良いのか、わかる。」
ねえ。
「大事にしてね、にいさま。」
そして、止める間もなく、自分の心臓に、短刀を、突き立てた。
ひゅ、と喉の奥です言葉にならなかった空気が鳴る。固まっていた体が、動き出す。
「さよ、待て!」
慌てて心臓から短刀を引き抜いたとて、もう遅く。
その体は、ばらばらに、血が飛び散り、いくつかの肉塊と、化していた。
「小夜、小夜、さ、よ、…さよ…」
ただ彼女の気配だけを残す短刀が、そこにはあった。
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