1-2―打ち明け話―

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1-2―打ち明け話―

 そんな折り転校してきたのが桂木美咲(かつらぎみさき)だった。当時在籍していたクラスでクラス委員を務めていた珠樹はクラス担任から美咲と席を前後に指定された。落ち着いた雰囲気の美咲は生徒たちからの注目にも動ぜず、マイペースに行動するタイプだったが、珠樹とふたりきりになるとふっと気持ちが解れたようにお喋りになる様子に和み、珠樹の心の中に自分が必要とされているというくすぐったいような意識が育っていった。  そして交換日記をはじめたふたりはお互いの思いを日記に記し、交換しながら、自ずと親しくなっていった。珠樹は美咲と一緒にテニス部の活動にも復活し、いつでも美咲と一緒に行動する中で少しずつ自信を取り戻していった。一学期が終わり、夏休みに入ってからもときどきテニス部の活動で顔を合わせたふたりだったが、長い夏休みの間には些細なことがきっかけで生じたわだかまりも交換日記や手紙を通して思いを打ち明け合うことで解消し合い、心の絆を深めていった。
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