1-2―打ち明け話―

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 珠樹は二学期からは生徒会にも加わるようになり、一方の美咲もクラスの代表委員を務めるようになって、互いの忙しさを共有するようになっても、帰りは毎日教室で待ち合わせして一緒に帰った。思春期真っ盛りの多感な年頃だったふたりは交換日記の内容も哲学的なことも絡めながら内面の奥深くへとそれぞれの問いかけを重ね、お互いの夢や人生についても語り合うようになっていった。しかしある日突然、美咲から転校することを告げられ、にわかに沸き立つような寂しさに引き摺られ、珠樹の心に昔、溶けてなくなったはずの過去の心の痛みが夜空の星の瞬きのように甦り、切なく苦しい動揺の思いが珠樹の胸の内を静かに覆いはじめていったのだった。
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