3.予定外の恋心

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「ジントニック―お待たせっしたー!」 「あれ? ジントニックじゃないです。ジンライムです」 「へ? あーー、すみません。間違えましたー! 直ぐ持ってきまーす!」  それからは当たり障りのない楽しい会話に徹し、気持ちよく解散した。  いつもより深酔いなのがバレないように。  週末の金曜日、明日は休み。  直ぐに帰る気にはなれず、馴染みのバーに向かう。  自分でも理解不能な人恋しさ。  誰かと一緒にいたい。 実家にいる可愛い子どもたち……いや違う。 この空虚感はあの子達では埋められない。  恋人など数年間いないけれど、そういう事だろうか。人肌恋しい的な。 「……馬鹿馬鹿しい」  いろいろ考えていたら可笑しくなってきた。寂しいとか、なんでこんなことを考え始めたんだ──。  酔っ払いがへらへら笑みをうかべながら、目的の店の前に着いた。 「止めてください!」 「……」 なんだ?  揉めてる。  少し、夢と現実の境界線が曖昧になってきている。 「いいよ八重嶋さん、早く行こう」 「ねぇねぇ、そんなつれない事言わないでさぁ、一緒に飲もうよぉーー」  三人の女性が、チャラチャラした男三人に絡まれているのがわかる。  女性グループは無視して先を急ごうとしているのに、逃げ道を塞がれている。 「いい加減にしなよ君たち。私らもう帰るところだから」 「だーーから。一杯だけ! おごるしー」 「しつこいんだけど」 「い、一華ちゃん、いいから」  イチカちゃん?
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