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百二十六話 一方地上では13
「っああああ!!」
カクバは無我夢中でラーバに
突進する。
しかし
「ほーら、動きなさい。」
ラーバの命令がかかり、鬼灯と
バーゼンがカクバの前に立ちはだかる。
「っ! くそ!」
立ちはだかる二人を見た、カクバは
急ブレーキをかける。
すると、バーゼンは動きが鈍く
なったカクバに掴みかかった。
「離せ! バーゼン! おい!」
「フフ、バカですね~カクバ君。
以前も同じ行動をしていましたよ。」
バーゼンに続いて鬼灯も
カクバを拘束する。
二人の力になすすべなく身動きの
とれなくなったカクバは、にやにやと
近づいてくるラーバを今にも食い殺し
そうな目でにらみつける。
「なんで、俺だけにその操る魔法を
かけなかった。こいつらにかけれたんだ。
俺にだっていつでもかけれただろ。」
「そうですね。正直いつでもカクバ君
には私の魔法をかけれそうでしたよ。」
「じゃあ、なんで──」
「カクバ君。」
さっきまでにやにやしていたラーバが
急に真面目な顔になる。
「あなたは魔族を滅ぼしたいですか?」
「は? どういう意味だ。」
「あなたはこの三人の中で最も
魔族を嫌悪していた印象がありましたが、
違いますか?」
「......あぁ、そうだ。俺は魔族が
だいっきらいだ。親父も仲間も、
俺の大切なやつらみんな、てめぇらに
殺された。てめぇらだけはぜってぇ
この世から消してやる。」
「ハハッ、いいですね~。
そうこなくては。」
「おい、だから一体てめぇは──」
「いいですか......カクバ君。
私の言うことをよくお聞きなさい。」
「は......お、お前、な、何言って──」
「別に信じなくても構いません。
ただ、カクバ君が私達魔族を滅ぼしたい
のであれば、このことをよく覚えて
いたほうがいいですよ。」
「ざけんな!!! んなことあって
たまるかよ!!! 第一、なんで
それを俺だけに教えたんだ!」
「保険です。」
「は? どういう──」
「さ、もういいでしょう。
そろそろあなたにも私の物になって
もらいましょうか。」
そう言うとラーバは嫌がるカクバの
口を無理やりこじ開ける。
「おひっ! ひゃめろ! へなせ!」
最後の力を振り絞ってなんとか
抵抗しようとするカクバの口の中に、
ラーバは
ブハーーー
と煙を吹き込んだのだった。
「さぁ、行きましょう。お前たち。」
ラーバの命令に三人が立ち上がる。
「いい駒が手に入りましたね~。
では、私達は私の島で他の人間たちを
待ちましょうか。」
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