1-2

13/13
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
 その後の三者面談は、言わずもがな最悪だった。兄貴のためにも冷静でいようと思っていたのに、いざ顔をつき合わせると怒りが沸いてきて自分を制御できず、素っ気ない態度を取って兄貴を困らせるばかりだった。さらに後藤も気まずいのか見るからに言動がぎこちなくて、段取りの悪さがいっそう苛立ちを助長させた。  話に区切りがつくと、俺は居たたまれずにすぐさま退室してしまった。けれど、兄貴は俺が出ていく寸前に「先生と話があるから校門で待ってて」と言って、残って話をしてくれていた。おそらく俺のことをフォローしてくれていたのだと思う。  家に帰っても兄貴はそのことについて(たしな)めることもせず、その話題に触れることもなかった。黙っている俺に合わせて言葉少なに寄り添ってくれた。その日の終わりまで、家の中では生活音だけがやけに響いて聞こえた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!