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 昨日は布団に入ったものの、後藤への怒りで目が冴えてしまって一向に眠れなかった。布団の中でうだうだしているうちに気づけばカーテンの裾から朝日が漏れ出していて、十分程度しかうとうとできなかった始末だ。俺とは対照的に、兄貴は起こすのも申し訳なるほどに深く寝入っていたので起こさずに家を出たが、ちゃんと起きられただろうか。 「ね、ねぇ翔やん」  ぎこちない声色が控え目に耳に届く。不審に思って光を見やると、わざとらしい笑顔を浮かべてこちらを見ていた。その割には口角がピクピクしていてぎこちなさ満載だ。こいつ、何か企んでやがるな。
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