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「嵐ちゃんってさぁ、響さんと同い年なんだってぇ」  一言目から不快なワードが出てきて眉根を寄せる。俺の反応を敢えて見ないようにしているのか、光は素知らぬ顔で言葉を続けた。 「しかも同じ“先生”だし、もう響さんと言っても過言ではない……」 「過言だわ」  問答無用で光の言葉を切り捨てる。何を血迷ったことを言ってるんだ、こいつは。軽蔑の意味を込めて俺は光を一瞥しながら付け足した。 「あいつの担当教科は体育で、兄貴の担当教科は物理だぞ? そもそも頭の出来が違うだろ」 「えー!? 響さんって物理の先生だったの!? 数学の先生だと思ってたー!」 「それはお前がいつも数学で泣きついてただけだろ。それに、兄貴は今は先生じゃない」  努めてなにげなく言ったつもりだが、最後に放った言葉が胸にちくりと引っ掛かる。
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