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 呆れながらラックから二枚を抜き取って、レジに持って行く。その後ろを光も一緒にスキップで付いてきた。 「それは大丈夫。父さん多趣味だから」 「頭の中でどう方程式を組んだらその発言が出てくるんだよ」 「ほら、多趣味な人はだいたい三日坊主でしょ?」 「継続力のある多趣味な人に謝れ」  会計をしながらこんなアホな会話をしていたので、対応してくれている女性の店員は苦笑いを浮かべていた。そのままありがとうございましたと言って、ピックを入れた小さな紙袋を手渡してくる。軽く会釈してそれを受け取ると、レジを離れて、付いて来ている光に向き直った。 「ほら、ちゃんと使うんだぞ」 「はぁ~い! 大切に使いま~す!」  説得力のないゆるい返事が、将来このピックが栞か何かにされるんじゃないかという考えを浮かばせる。
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